東広島市におけるクラブの里山活動について
(吉本先生講演レジュメ)
Nov./2/1997
1.東広島市の概要
●東広島市の位置など(略)
●里山活動の気運
東広島の里山は、かつては豊かなアカマツ林(マツタケの一大産地)でしたが、松枯れと放置で崩壊しており、山持ち農家は里山の管理余力が無く、また経済的な資産と見られていないのが現状です。
一方で、里山活動への関心は、アウトドア愛好家、都市から東広島市への転入者、まちなかに住む人たちを中心に高まっていますが、公有林や旧町村の共有林(財産区有林)の管理も市民に開放されていません。
このような中で、自分の里山を趣味として管理している例はいくつかありますが、私たちの活動のように個人の里山を市民グループの活動に開放されたのは、東広島市では最初の事例だと思います。私たちの活動は、東広島市の「環境審議会」からも自然環境の管理の事例として意見を求められました。
2.クラブの誕生と活動経過
3.今後の活動目標・テーマ
●楽しみながら50〜100年後に残せる森づくり
里山活動の目標は、市民が楽しみながら、現在の山林を50〜100年後に残していくことだと考えています。そのため、いろいろな活動を進めていきたいと考えています。
★林地・竹や立木の手入れ
会員に樹木や森林(竹林)の管理について知ってもらうための学習活動です。
★森林空間や竹、樹木のレクリエーション活用
みんなが集まる広場、散策路や森のマップづくり、林床(切り株)手入れ後に子どもの遊び場やしかけづくり、キノコ栽培、野菜畑の活用等を進めたいと考えています。
★暮らしや遊びに林産物を活用
落ち葉(堆肥など)や竹の菜園への利用、現地での昼食には農・林産物の調理や竹酒・竹のコップ(食器)づくりなどを考えています。
★活動情報の発信
インターネットを通じて外部に情報発信を続けたいと考えています。
●竹類・竹林の生態観察
松枯れの多い東広島市の里山では、急速に竹林が拡大しており、里山の管理にとって脅威となっています。現在は社会的にも山持ち農家にとってもそれほどの需要がないため、現在は竹の抑制・防除が課題となっていますが、需要があれば竹林面積は10年で2倍に復元可能なほどの繁殖力を持っています。
(観察テーマの例)
○竹類の生態、伐採に対する反応の観察
○竹林と樹木の境界部での両者の競合の観察
○竹林を更新する樹種の選定とその成長の観察
●里山活動グループの連携
将来は、多くの里山管理グループが誕生し、それぞれの里山にミニ自然博物館や自然公園的な性格を持たせ、それぞれの里山が市民を巻き込んだ活動を展開していくようになればいいと考えています。
4.市民による里山活動の展開のために(私見)
●背景
現在、余暇活動は観光地やレジャーランド利用型から、創造的なレクリエーション、ボランティア活動へと転換していると思います。このような傾向の中で、里山に触れたい市民は多いと思いますが、その多くはその機会が持てないまま、そのうちに関心を失っていくのではないかと思います。その意味で、里山を活用する多様な活動が行われることは是非とも必要です。
●里山の管理目標
山持ち農家にとって、アカマツを失った今、里山の管理は明確な目標が失われています。
しかし、里山は木材生産の場として有史以前から変わらぬ価値を持っています。この機能を50〜100年先の子孫に残し、その時点での活用に委ねていくことが、現在の我々の責任ではないかと思います。
そのため、どのような里山を目指すか長期的な視点で目標を定め、その方針に沿った樹種の選定、管理を行っていくという視点が必要です。里山所有者の事情を考慮しないレジャー利用では、里山の管理は困難であると思います。
●活動する里山をどう入手するか
私たちの活動は、個人的なつながりの中から理解ある里山のオーナーと出会うことができましたが、里山活動を広げていくためにはもう少し社会的なシステムが必要です。
○行政の斡旋(公有林の開放や個人の里山の斡旋)
○共有林の開放(財産区有林など)
○会員と山主の話し合いの機会の創出など
●里山所有者への要望
里山活動には、里山所有者の理解が欠かせません。里山の所有者には次のようなことを期待します。
○里山の管理にボランティアの労力を受け入れ、活用してください。
○森への出入り、子供会活動などでの利用、無市価物(落葉、枯れ枝、 竹、つる植物など)の採取などに柔軟に対応してください(一定のル ールのもとで)
○ボランティアへの金銭的報酬や資材提供などは不要です。
●里山のボランティア活動を広げていくために
★活動をどう継続するか
里山管理は地道な活動です。この活動を長期(少なくとも10年以上)にわたって継続していくためには、会員の興味を持続するための様々なイベントなどを企画していくことが必要です。同時に、里山管理の活動は里山所有者のメリットとなることが前提です。
★近くのボランティアグループとの連携
それぞれの里山活動グループが、自分たち以外のグループと交流・連携し、情報交換しながら活動の輪を広げていくことが必要です。
★活動の社会的な役割
里山管理の活動は、自分たちの趣味の活動にとどまらず、社会的な意味を持った活動です。それぞれの里山を開放的に活用することにより、地域住民を含めた自然学習会や里山遊び、不要物の活用など、さらに学校区にいろいろな植生の里山(溜池、湿原、河川含む)をつくり、児童や生涯学習グループにビオトープでの学習の場を提供するなど、様々な役割を果たしていけると思います。
★里山活動に行政の支援を
このような活動を展開するためには、市民レベルでは限界もあります。次のような場面については行政レベルの支援を期待したいと思います。
○ボランティア活動の受け入れ先の斡旋
○管理用機器(チェーンソーなど)の貸出
○植樹行事に里山活動の山林も対象に
○ボランティア保険の斡旋
○全市的な里山・溜池・河川などの学習会の開催
○里山活動に提供される山林に対する税の減免措置・援助
○ボランティア活動を支援する企業への税の減免措置
part1 レポート
part2 プログラム
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